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べっ甲の色

記事:磯貝剛

 

べっ甲は不思議な素材です。

 

今日のように雨降りだと甲羅がしっとりしてとても加工しやすい。

逆に、この時期らしく乾燥していると表面がカリカリしていて刃物がなかなか入らず削りづらい。

 

まさに生き物の貴重な素材に感謝しつつ、丁寧にその魅力を引き出せたらと願いつつ作業をします。

 

そしてべっ甲の最大の特徴。

色・柄が様々なのは、使う人にも、作り手にも魅力的なのです。

 

白甲

トロ味のある半透明のオレンジ色。

「飴色」の呼び名で日本人を魅了しているべっ甲の高級部位。

玳瑁のお腹側の薄い甲羅を、それこそ何枚も何枚も重ねて製作します。

 

黒甲

すべてを映し出す きめ細かな黒色。

黒甲は、蒔絵など施す土台として用いられる事が多いもの。

歪み無きよう鏡面仕上げをして美しさを引き出します

 

茨布甲

色、柄に同じもの無し!

唯一無二の天然色。

化学的に作られたべっ甲柄とは一味もニ味も違う 奥深い存在感。

 

 

SNSでも発信しますのでチェックして頂けると嬉しいです。

 


所信表明2024?

記事:磯貝剛

 

遅くなりましたが

本年もよろしくお願いいたします。

 

 

ベッ甲イソガイでは大体毎年「テーマ」を設け、製作しPRに努めています。

年末から支度して、春先にお披露目。という流れでその年にアクセントをつけてきました。

 

という事で今年の「テーマ」を発表したいと思います!

 

とは言え、仕込みに時間がかかっているので

まだとてもお披露目の段にはたどり着いていませんが、、、、

あえて「やらなくてはならない」状態を作って自分に鞭を入れようかと。。。

 

何だか見切り発車の政治家の所信表明みたいですが、

テーマは

べっ甲「色合い」の素敵さを伝えるプロジェクトです。

 

 

上の写真はいずれも背中の甲羅です。

部位は一緒ですが、その色合いによって

「黒甲」「茨布甲」「トロ甲」「上茨布甲」、と細分化されます。

 

さらに柄や濃さは個体によって違いますので

もっともっと細分化されていきます。

なのでべっ甲の製品はとても個性があるのです。

 

同じ形に作っても、ひとつひとつが違う事も魅力なのです。

 

ひと昔前の、大量生産、大量消費の時代

効率よく同じものを提供できることが素晴らしい!

という風潮がありました。

 

伝統工芸などの手仕事はこれとは真逆なので

若かった時分の私は結構恐怖を感じていました。

 

その後、個性を尊重する方向に世の中が変化しましたが、

実は現在もネット社会は引き続き「画一的」なものの方が

販売しやすい傾向はある様に感じます。

 

べっ甲は実はかなり個性がある素材なので時代に乗り切れないのか。。。。

 

と、いろいろな葛藤の中、

まずベッ甲イソガイの作り手たちに

今年のテーマを共有しました。

 

兄はベッ甲イソガイの亀戸店

弟はベッ甲イソガイの浅草店の店長も兼務してますので

お客さんと毎日接しています。

 

むしろすでに、

ひとつひとつ色合いなどに個性のあるべっ甲の商品を、

毎日提案し続けているので、あっさりと受け入れてくれました。

 

あとはどのように「べっ甲の色合い」のバリエーションが無限で面白い。

という事を伝えられたらというところでしょうか?

 

取りとめない話ですが、べっ甲の素敵さを少しでも伝えたい!

という気持ちが根底にありますので温かい目で見守っていただけたら嬉しいです。

 

あらためて本年もよろしくお願いいたします。

 

 

 


作り手仲間とのイベント

素材はそれぞれ違う、作り手仲間とのイベントを開催します。

 

テーマは「お茶」

 

私は初めて作るものや、超玄人向けの品物まで。

普段の製作とは違ったものを作りました。

 

茶杓、茶匙はもちろん仙媒、やコーヒーと兼用できる茶葉スプーンなど、、、、

 

詳細は ベッ甲イソガイ インスタ でも順次アップします。

 

「百色のしつらえ」

■2023年12月18日(月)〜 23日(土)

 10 時‐17 時 (初日は12時より / 最終日は15時まで)

■会場 うおがし銘茶 茶の実倶楽部5F スペース「会」

 

個性豊かな作り手が集まるからこそできる

ものづくりの自由な提案を目指す、日本伝統工芸美術会。

今回はお茶にまつわることをテーマに会 場を彩ります。

 

それぞれの作り手が日頃向き合う素材の欠片を組み合わせて

クリスマスオーナメントをつくるワークショップも行います。

 

出展者 べっ甲クリエイター 磯貝剛 / 金工作家 宮田琴 / 表具経師 岩崎晃 

漆芸家 森田理子 / 江戸切子 椎名隆行 / 磁器 瀬古有美

 

うおがし銘茶 茶の実倶楽部

東京都中央区築地 2-11-12

TEL 03-3542-2336

最寄駅 東京メトロ日比谷線「築地駅」

東京メトロ有楽町線「新富町駅」4 番出口

 

日本伝統工芸美術会webサイト

 


モノマガジンTVに紹介していただきました!

 

どうぞ、ご覧ください!!


「茨布」って読めますか?

記事:磯貝剛

 

「茨布」

べっ甲の自然な柄を示した単語です。

「ばらふ」と読みます。

 

二つと同じ色がないべっ甲。

作り手の好奇心や技術を問われる

魅力的な「茨布」の柄。

 

実は先月べっ甲の作り手の「達人」の工房を

訪れる機会があり、とても刺激を受けました。

 

自分にできる最大限。

と心に決め、とりあえず次のイベントのお客さんを妄想し、

「あったらいいな」というものを手掛けることに決めました。

 

最も手掛けたいと思ったものが「茨布」でした。

 

磨き上げてみるとうっとりするキレイな柄、模様が現れます。

 

「磨き前」と「磨き後」です。

手間をかけた分より、愛おしい。

 

バングルも納得の仕上がりになりました。

 

 

【福岡でイベントを開催します】

 

〈ベッ甲イソガイ〉 ショータイム

■と き:11月15日(水)〜21日(火)

■ところ:岩田屋本店 新館6階 プロモーションスペース

 

伺うことが少ない九州エリアでのイベントはとても楽しみです!

お近くの方はこの機会にお気軽にご来場ください。


デザイナー喜多俊之さんのギャラリーで

記事:磯貝剛

 

イタリアで最も成功した日本人のプロダクトデザイナーとして

名前が挙がるのは喜多俊之さんと言われています。

 

有名デザイナーである傍ら、喜多さんは日本に

古くから根づいている伝統工芸に注目し、

若い時分からコラボレーションを行っていました。

 

かくいう私も10年ほど前に喜多さんに出会い、

大変面倒を見ていただいているつくり手の一人なのです。

 

一番最初は大阪の天満橋 ギャラリーアニマという場所で

喜多さんディレクションによる江戸職人の展示を行っていただきました。

 

レセプションパーティーをして、トークイベントまでしました。

もちろん展示も今にも昔にも一番カッコいいと言える仕上がりでした。

 

喜多さんに惚れ惚れしてしまうのが、

デザインがまずカッコいい!

さらにそれらを大切にしていて見せ方も素晴らしいのです。

 

その後、いろいろな場面で面倒を見ていただきっぱなし。。

 

そして今回、念願の丹波篠山にある喜多さんのギャラリーで

単独で展示させていただきました!

 

打ち合わせではご飯いただいたり、デザインのアドバイスまでいただきました。

本当にありがたいことです。

支度の段階の、半年ほど前からあまりにも話がうまくいきすぎるので、

逆に「本当に展示させてもらえるのだろうか?」と疑心暗鬼になったほどです

 

 

実際会期が始まったら、居ても立っても居られず、篠山に駆け付けました。

これまた惚れ惚れする素敵すぎる空間です。

 

 

秋の丹波篠山は最高ですよ!

お近くの方はぜひチェックしてください。

 

篠山ギャラリーKITA’S/SASAYAMA GALLERY KITA'S

 

ベッ甲イソガイ展は10月末までです。

 

 

 

 

 

 


暑い中の作業

記事:磯貝剛

 

暑い日が続きますね。

 

べっ甲の工房は鉄板を焼くのでさらに暑いです。

 

でも暑いこの時期は素材の甲羅がしっとりとしているので

作業にはとても適しているのです。

 

なので毎日夜はクタクタになりはすれど、

日中は充実の作業ができるのです。

 

「作りたいな」と思っていたものを次から次へと

完成へと導く毎日なのです。

 

今回の作業で仕上がったのは「トンボ玉」とコラボしたかんざしです。

 

接客の中でお客さんから沢山の意見をもらってきた

今だから作りたいバランスに仕上がりました。

 

明日から店舗に並べる予定です。

一本一本違いますので気になる方は

お気軽にご来店くださるとうれしいです。

 

 

 

 

 

 


ORIGAMIシリーズ

記事:磯貝剛

 

一生懸命作るべっ甲のアイテムたち。

その一つ一つに同じく気持ちを込めています。

 

10年ほど前からテーマを持った商品群を形成し

シリーズの展開を試みました。

 

assort,contour,sketch,semplice,,,,,,,,

 

ベッ甲イソガイには10以上のシリーズが定着しました。

 

ずっと「個性とはどうやって表現するべきか?」

と悩んでいた10年以上前の自分でしたが、

 

手探りと、アドバイスをくれる人の存在でどうにか

「これがベッ甲イソガイの商品です!」

という事が自信を持って言えるようになってきました。

 

そして写真は「ORIGAMI bekko jewelry」。

一番新しいベッ甲イソガイのシリーズです。

 

「一枚のべっ甲を立体的なジュエリーへ」

というコンセプトを大切に商品作りを進めました。

 

昨年デビュー時はコロナ真っただ中でしたが

デザインの新規性で沢山の人々に良さを感じていただきました。

気づけば2年目に突入していて、丁寧に

ベッ甲イソガイのシリーズとして定着させていく年になっていました。

 

その間

「ネックレスをもっと長くしてほしい。」

「ブレスレットの幅半分に。」

「真っ黒い色で作って!」

など微調整や、オーダーなどのお声も多くて

その都度製作を楽しくさせていただいています。

 

ORIGAMIシリーズ。

ぜひお見知りおき頂ければ嬉しいです!


褒める爺と 褒めぬ爺

記事:磯貝剛

 

最近作業している時に思い出すことが多いのが私の祖父の事。

 

しかも思考の中には父方と母方両方の祖父が代わる代わる

交代で出てきます。

 

というのも両方の祖父がべっ甲の作り手だったせいなのです。

 

父方の祖父は私がトライして試行錯誤したこと、作った物に対して

全て褒めてくれました。

 

その一つ一つの思い出は作り手としてのモチベーションになり

常に私の頭の片隅に存在しています。

 

かたや、母方の祖父は私の渾身の活動にも作った物にも

一度もほめてくれた記憶がないのです。

 

その一つ一つの思い出は、私の反骨心を育て

間違いなく粘り強さを育ててくれました。

 

直接の師匠は父なのですが

二人の祖父は私にとってかなりの影響を与えたことは確かなようです。

 

祖父たちは私に対する接し方だけではなく作るものも違っていました。

 

父方の祖父は、いわゆる「土台作りのプロ」

黒甲やまだらな色合いの茨布甲を何枚か重ねて

厚みのあるべっ甲の土台を作ることに長けた作り手でした。

 

性格は粘り強く、着実に一歩一歩進む。

という印象。

 

母方の祖父は、いわゆる「白甲師」

主に薄い白甲を得意としてました。

また、長い期間で段取りを取りつつ兜や校倉屏風などの置物を作ることもありました。

 

性格は中長期の段取りを見通しつつ自分のペースでものつくりをする人という印象。

 

昨日は新しくトライして作った品物が満足いく仕上がりでできたので、

父方の祖父のことが自然と思い浮かびました。

 

きっと褒められたい潜在意識が原因なのだと自己分析します。

 

 

そして今日は一日中、母方の祖父が付きっきりで私の作業を監視しているような気がしました。

 

今日やっていた作業はうすい白甲を丁寧に何枚も何枚も削り込みました。

そう、母方の祖父が得意だった作業です。

 

祖父がいつも言っていた

「紙より薄い白甲、あめ色に仕上がる白甲は透けるからこそ、誤魔化しがきかない。」

自分の腕を誇るように。。。

 

褒めない方の祖父はきっといつでも、私の作業を「じっ」と見ているんだ。

きっと教官のような視線で。

 

だからその「紙より薄い白甲」を削りながら

呪文のように祖父の声が耳元で聞こえるのでした。

 

私のルーツ。

二人の祖父。

その存在は今でも健在なのです。


実演。本気の作業

記事 磯貝剛

 

先日まで大阪に居ました。

 

イベントでは

斧折樺というとても堅い木材を加工する「プラム工芸」さんと

唯一無二の革加工の時計を製作する「サンク・カロ」さん

とベッ甲イソガイの3軒で行いました。

 

自分で言ってしまいますが、

私はイベントで結構作業をする方です!

 

実演ですのでもちろん見ていただく意味もあるのですが、

気が付くと作業に没頭して行っている事の方が多いです。

要するに必要な作業を淡々と。。

なので結構地味に見えると思います。

 

そんな私ですが今回ご一緒させていただいたお二方は

どちらも作業好き。

お客さんに話しかけられるまで作業の手を止めないことも多いので

ある面では私より作業しています。

 

そんな方々ですが、

作業の合間に話をしてみるとどちらも個性があって

とても面白い作り手です。

しかも世界感を持っているので作品にも人間にも興味が湧いてきます。

 

(※写真はプラム工芸さんWEBより)

プラム工芸さんは作っている人柄そのまま、

カチッとしっかりとした信頼感の高いキッチンアイテムを

製作していました。

 

東北岩手からの参加。

岩手の春は東京の半月以上遅いそうです。

 

(※サンク・カロさんWEBより)

こちらはサンク・カロさん。

トルコ石などの石で装飾した派手な革の時計のイメージそのまま

いかした作り手のおじさん。

 

趣味が高じてギターのカスタムに没頭するというやっぱり

いかしたおじさんでした。

 

ものづくりの種類が全然違うけれど、

とても刺激的で楽しかった一週間。

 

 

 



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浅草・亀戸べっ甲職人の店「ベッ甲イソガイ」のオフィシャルブログです。

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