東京スカイツリー

「ALWAYS 3丁目の夕日」。ご覧になられた方も多いと思います。
映画の中では高度経済成長の最中、急速に発展していく日本―東京の様子を
「東京タワー」がどんどん高くなる姿とリンクして表現されていました。
戦後多くのものを失った日本にはシンボル的存在で、映画の登場人物たちが
「東京タワー」を見上げている姿からも希望や夢、願いなどを投影していたことがうかがわれます。

私たち「ベッ甲イソガイ」の工房や店舗があるのは亀戸、浅草、いわゆる東京の下町。
数年前のある日、突序発表された「世界一の電波塔」建設計画。
建設地は我々の亀戸店と浅草店の中間あたりに有る「押上」と言う地区。
学生時代、「何処から通っているの?」と聞かれ「押上駅」と言っても
いまいち、どのあたりかもわかってもらえない程知名度は低く、
その「世界一の電波塔」が出来るというのはタンクローリーの往来で傷んだデコボコ道の、
そこを通る時は前の車が起こす砂埃の激しいコンクリート工場の有る辺り。
とても「世界一の・・・」が来て頂くにはリアリティーのない場所でした。

工事が始まりコンクリート工場に続くデコボコ道は閉鎖になり、
恐らく「世界一の電波塔」の大きな鉄骨?の様なものを積んだトレーラーが下町に流れ込んできて、
町中の雰囲気が工事現場化し、その建造物に好意を注ぐ気持ちにはなれませんでした。

しかしゲンキンなもので、その「世界一の電波塔」の名前が「東京スカイツリー」と決まり、
着々と建造物の片鱗が見え始めてくると、その変わりゆく様子を記憶に刻むために
カメラを持ち歩く機会が増えました。

20120609-01.jpg


私たちが営む亀戸店前の、亀戸天神からは神社の鳥居や太鼓橋、
社殿と「東京スカイツリー」とのコントラストが美しく、
サザエさんのオープニングの背景で使われたり
ぶらり旅系の番組での紹介が多くなったり・・・
ちょうど亀戸店の前から撮影すると鳥居とスカイツリーが綺麗に移り込む
ひとつのシャッターポイントとなりました。

20120609-02.jpg

また浅草店のうちの店から見ると脇の小路「雷門柳小路」。
浅草の中でも下町らしさを残すこの通りの向こうにはやはり「東京スカイツリー」が・・・
ここもにわかシャッターポイントとなりました。

20120609-03.JPG

人々の顔を見ていると、単に今までなかった高い建造物が建つことに関する興味だけにとどまらず、
この「東京スカイツリー」が人々の希望や思い出、楽しみそのほか
いろんなものを背負って着々と高くなっている事が感じられ、
「ALWAYS 3丁目の夕日」で描かれていた「東京タワー」を見上げる人々の思いと
「東京スカイツリー」を見上げる人々の思いは、時代こそ違え重なる部分が多い事に気が付きました。

私たちの工房は5月22日に「鼈甲磯貝」から「ベッ甲イソガイ」と
表記を変えリニューアルしました。
小さな工房としてはかなりの労力を必要とする大変な作業でしたが、これから先も
師匠と3人兄弟が協調しべっ甲作りを続けていくためにも重要なタイミングであったので、
「東京スカイツリー」の開業と同じ日にする事になりました。

私にとっても、ただ高い建造物ではなくなった「東京スカイツリー」は
見上げるたびに色々な気持ちにさせてくれます。



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