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天然の色

記事担当 磯貝剛

今回のブログは、私が出張などで久々に工房で作業に戻った時に
師匠が嬉しそうに「出来はどうだ?」と自信満々で見せてきたかんざしについて書いてみます。

たまにはべっ甲のプロらしく、素材のお話しです。



べっ甲細工はタイマイという海ガメの甲羅から作られます。
主に「背甲」「腹甲」「爪」といった部位からなります。

「背甲」などにみられる独特のまだら模様に
ひとつひとつ個性があるのは皆さんご存知かと思いますが、
それと同じく「腹甲」にもやはり個性があるのです。

一般に「腹甲」は「あめ色」と呼ばれべっ甲の
高級な色合いと認識されています。

その昔、私のおじいさんが現役の作り手だった頃
「あめ色」の製品にも、色白なもの、濃い色のオレンジ甲など色合いを競って作っていたようです。

現在は素材がそれほど豊富にあるわけではないので
その色合いの違いを細かく要望されると少々作りにくいのが現状。

だからこのブログでべっ甲の色合いの違いを勉強しても
そんなに無理な色合いの注文はしないで下さいね。(笑)

実際現在のべっ甲業界では染めたものも作られたりしています。
それはそれで新鮮さがあって私も良いと思います。

そんななか、今回うちの師匠が作ったのは染めではなく、
天然の色合いにこだわった製品であるところがミソなのです。

濃い色の「あめ色」だけで重ねたものと、
薄い色の「あめ色」だけで重ねたものと、
こんなにも色の違いが出るものと私も再確認させてもらいました。



やっぱり天然の色はキレイです。

大江戸高校 べっ甲講師 退任



記事担当 磯貝剛

15年と少し前、
これから出来上がる都立高校で伝統工芸の授業を
行いたいと師匠の元へ相談に来た方々がいました。

工房で話し込む様子をはた目に見ていましたが
「他に無いもの」「しっかりした伝統に触れさせたい」
といった熱意がとても強かったことを覚えています

今まで師匠は人に教えるといえば文化センターなどで
大人相手でしたし、自分の弟子には理論よりも
実務を見せて教えるタイプ。
高校生相手に授業が出来るのか?弟子として
どうもしっくり受け入れにくいなあと感じていました。

ところが師匠は意外にも乗り気のようで
快諾していました。

その当時都立大江戸高校は新設されたばかりの初年度。

廊下も階段も工作室もピカピカ、そしてスタイリッシュ!

べっ甲の授業用に揃えた道具やプレス器、モーターなども全て
新調したものばかり。

当時としてはかなり珍しい、現役の作り手の授業で
単位が取得できるといった話題性のある行いでした。

頻繁にマスコミのカメラが入ったりしたものです。

そしてサポートについている美術課の先生の熱心さ、
生徒のやる気、師匠のやる気、そのどれもが初々しかったものです。

そんな日々からもう15年も経ってしまったんですね。
頭の中でちょっと計算してみるとビックリですが、
初年度教えていた生徒さんたちがもう30才になっているんですね。

それは師匠も私も年をとるものだ。

そしてつい先日、ひとつの区切りとして師匠は
その15年勤めた大江戸高校の講師を退任しました。

本当に伝統工芸 べっ甲に触れて良かったという生徒もいるし、
何かの経験のひとつになったんじゃないかなと思います。

弟子ながらべっ甲への理解のためにも、生徒さんたちの教育のためにも
師匠でなくてはならない教え方で体を張ってやっていたなあ。と思うところです。

お疲れ様でした。

蝋燭が燃え尽きる前

記事担当 磯貝剛

良いことか悪いことか微妙なことなのですが、
製作が乗りに乗ってくると疲れている感覚が
無くなるのです。

未だ夏休みを取っていないわたくしですが、
2日後の出張を前に体力が有り余っています。

そして我ながら、ものすごい段取りと手際の良さで
製作がはかどります。



こんな時にちらつくイメージが「蝋燭が燃え尽きる前」。

事実以前は調子が良いのでやれるだけ遅い時間まで
製作したりして、ようやくたどり着いたお休みの日に、
パタリ と休日を寝込んで過ごしたり、
ぎっくり腰になったり、、、、

もういい年のおじさんになってきましたので、
今までの経験からそれなりに用心はしています。

とはいえ製作がはかどるのはまたとない良い機会、
そこは段取り良く最速のスピードで仕上げていきます。

そして疲れを貯めない工夫を発見しました。

私の場合、疲れ=筋肉のコリ のようで、
多少無理した体もきっちりとしたストレッチやヨガなど
を行うと相当リセットされることに気がつきました。

欲張りなので「蝋燭が燃え尽きる前」の
素晴らしいチカラを上手く使わせてもらえるように
ヨガでもして、もうひと頑張りしたいと思います。


出張先で思うこと

記事担当 磯貝剛


私ほ只今 出張中です。

あと1日でイベントも終わりなのでちょっと
ホッとしてブログを書いてます。

今回の出張でも自分で惚れ惚れする仕上がりの出来映えの品物の人気が高く
処変われど、お客さんの見る目はしっかりしてるなぁ。
と思い知らされます。

ゲンキンなもので、売れてしまうと
「あー、もっといっぱい作っとけば良かった!」
とちょっとした欲が出てしまうところですが
いやいや、また丁寧にもの作りをしましょうと
自分に言い聞かせたりします。

とにかく帰ったらまた惚れ惚れする製造を作りたいなあと、
自分の作業台が恋しくなっている出張先の夜なのです。

江戸のバリュー



記事担当 磯貝剛

たまに関西に出張で来ることがあるのですが
「江戸」のくくりでデパートに出展するのは初めて。

関西から見た江戸 東京のイメージを垣間見る
良い機会を頂きました。

ひととき前まではベッ甲イソガイも職人展で都内、
そして出張していたのですが、江戸を括りにした
イベントの流行りの陰りもあってここ数年やや遠ざかっています。

そんな中、大阪の阪急さんが「江戸」を強く打ち出した
イベントをやりたい!参加してください!とのお声かけ。

場所は大阪の文化の交差点のような 阪急 祝祭広場というスペースです。



ベッ甲イソガイの商品を見る大阪の方々の反応も
興味津々でとてもやりがいがありました。

正直「江戸」のバリューも捨てたもんじゃないな!

外から東京を見るのも大切だな、と考えさせられたイベントでした。



それと、仕事終わりの一杯も格別なものでした。

また、呼んで欲しいなあ。
と思った経験です。

お誂え承ります

記事担当:磯貝剛

「お誂え承ります。」

そんなフレーズに憧れて日々研究するのが
もはや趣味のようになった、ものづくり生活をしている私ですが。

やったことのないお題を頂くと
妙に嬉しくなる習性があります。

普段は工房勤務の私ですから、たまにになるのですが、
店舗の当番の時、そんな有難いお題を頂けることがあります。



そしてこの、まさに完成されたプラチナのブローチ。

これをバラバラに分解する!?
これだけ完成されたものに、少々尻込みしました。

祖母の形見だといいますが、デザインがしっくりいかないと、
ご相談頂きました。

青いオパールを生かしたデザイン、
もっと大きく存在感のあるもの、
スッキリとした直線的なデザイン、
などなどのお題を頂きデザインの案を考え始めました。

が、しばらくして、デザインの提案しようかと、
図面を描き出した頃、お客様のイメージが固まったようで、
1枚のファックスが届きました。

やはり好みは自分自身が一番分かる。
それを素直にぶつけてきてくれました。


それにしてもここまでイメージを図にできるお客様も結構珍しい。
作り手としてのスイッチが入りました。

試行錯誤数ヵ月をかけて、ようやく完成!


今日お客様に納めることができました。

ブローチを鏡に映し込み、大変気にいったご様子に
私もホッとしました。

お誂え承ります!!


べっ甲はキズ取りの仕事?

記事担当:磯貝剛

普段は工房で作業している私ですが、
店舗で作業することもあります。

店舗には店長の代理で入ることが多いので
各店長が気を利かせて、きれいに整っている
作業台を使うことがたまにあります。

店舗に入る時もかなりの作業を持っていっているので
お客さんが入っていない時は、黙々と作業できます。

そんな店舗で作業しているときに
ふと思ったことを書きたくなりました。



べっ甲の商品を説明するときに甲羅を見せながら
「この深いキズを、ヤスリや小刀などの道具で削りをし、
磨きこんでべっ甲は仕上がります。甲羅の半分近くは
削ってしまいます。」とよく言っているのですが、

ネックレス「b」のパーツ25本分を
小刀での削りをしていたところ、
結構な量を削っていることを再確認できました。



現在べっ甲の場合素材自体が高価ですし、量的にも貴重に
なっていますので、できる限り適した厚みの素材を選び、
極力、削る量が少なくて済むようにしています。

それでもきれいに仕上げるためにはすべてのキズを取らなくてはならず
素材の半分ほどは削ってしまうことになるのです。

もちろんグラインダーなどモーターを使った作業も
行いますが、手作業による小刀がけは、研磨の前には
必ずと言っていいほど行います。


店長が綺麗に整えてくれた作業台だからこそ、
その日の作業量がまざまざと確認できます。

あらためて削ったくずを見て
「確かにべっ甲はキズ取りの仕事だ」
しかも「手でよく削るよ」と、自虐的に振り返りつつも
そんな手仕事(マニュファクチャー)をさせて頂ける事が
ラッキーだなあと、

仕事を始めたときは小刀を持つ手にマメが出来たり、
手が疲れて、30分すら作業できなかったり
そんなことを思い出すほど自分もおじさんになったんだなあと。。。。。

自分が作った製品も多々並んでいる店舗で
そんなことをしみじみと思うある日の出来事なのでした。


煎茶のお道具


記事担当 磯貝剛

作り手仲間と共同展示&イベントを開催中です。

「初夏の煎茶を楽しむ」
■三越銀座店 7階ジャパンエディション
■5月30日まで

ベッ甲イソガイからは「仙媒」という茶葉を急須に入れ込む
お道具を製作してみました。


何気なく作りはじめましたが、驚くほどの大きさの素材を
使いました。

作り手仲間もそれぞれ、気合いの入った作品を
作ってきました。

お気軽にお立ち寄り下さい。

石の上にも3年



記事担当 磯貝剛

秋田杉から作られた「ビアマグ」。

木の軽さと優しい持ち心地、無駄のない美しいカタチ。
このカタチにたどり着くまでどのくらいの経験や研究をしたのだろう?

この「曲げわっぱ」の作り手と大阪のデパートのイベントで偶然の再会しました。

うちの師匠と同じ年代の大先輩です

うれしい事に若輩モノの私をさしで飲みに誘って頂き、
それはもう作り手話に花が咲きました。

異業種ながらモノ作りをしている同士、根底の部分では全く同種の生き物。

最近、ボヤっと頭に残っていた考えが鮮明にまとまりました。



何事にもその意味とか、やりがいがあるものですが、
言葉で説明するのは不可能なこと。

初めのうちはなにもわからず集中して打ち込めたら幸せだと思います。

思い起こすと仕事を始めたとき愚痴を言うと、母親に
「石の上にも3年」と諌められたものです。

なるほど、3年もすると作業で座っているのも苦にならず、
作り手の基本が身に着いたようです。

また、接客が苦手で苦手で、ストレス、
ちょっとしたノイローゼ気味になったことも(笑)。

それでも知らぬうちに3年は経ち、逆に接客の楽しさや
モノ作りのヒントを頂けることも自然と理解できました。

お店を開店させたり、
作り手の会に所属したり、
テーマを持ったモノ作りを始めたり、

全てのことはあっという間に3年が経ち、
初めは意味がわからず必死で続けた事が自分の能力となって、
自分を支えてくれるようになっている。

ことにモノ作りは、師匠からは「10年しないと一人前と言えない」
と、3年どころではないお言葉。

それもやってみると納得。


「曲げわっぱ」の大先輩と飲んでいて、まさに「石の上にも、うん十年」、
しかも未だに石の上にも居続けているのが見えます。

今年作り手として20年になりますが、毎日学ぶことだらけで
「これは10年どころではなく一生だな」と覚悟しています。

作り手としては石の上にも居続け、打ち込めることはやっぱり幸せだなぁ
と確認できる大先輩との飲み会でした。

しかも「若い仲間が出来た!」とあの素敵なビアマグをプレゼントして頂き、、、、、、

美味しい酒になりました。

「石の上にも3年」。

途中で辞めてたら相手にもされなかったんだろな。

ご要望にお応えします。

記事担当 磯貝剛



一見、只のブレスレットなのですが
通常作るサイズより一回り大きく作った一点もの。



竹節に特徴がある茶杓ですが、まだらな茨布のものはお客様のもの、
白甲の茶杓を今回ご注文頂きました。



そして以前ループタイでご注文頂いたお客様から
続編で蝶ネクタイのカフスボタン。


お客様の要望で、まさに一点物をもの作りする事は
作り手としてはとてもやりがいのあるお仕事。

どれも磨き上げ、完成する頃には我が子のような愛着が芽生えました。

あとは出来上がりの連絡をするのみ、
お客様喜んでくれるかなぁ


プロフィール

浅草・亀戸べっ甲職人の店「ベッ甲イソガイ」のオフィシャルブログです。

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